スパゲッティからの脱却
ノードベースのツールは、適当に作っていくと線が絡まり合った「スパゲッティノード」になり、他人が作ったworkflowはもちろん、自分で見ても理解不能になります。
しかしながら、綺麗に整理されていれば、一目見ただけで何が起こっているのかが分かるのもノードベースの良さの一つ。
名著『リーダブルコード』ならぬ 「リーダブルノード」 を組み上げて、快適なComfyUI生活を送りましょう!
※すべて私の独断と偏見であり、公式が勧めている方法という訳でもありません。気楽に読んでください。
1. 視線誘導 (左上から右下へ)

他のノードツールに比べると、ComfyUIは「素材が一本道の生産ラインに乗せられて画像へ加工されていく」だけのシンプルな構造です。 「リーダブルであるか?」という問いは、この一本道のラインを どれだけ素早く見つけられるか? と言い換えられるでしょう。
デザインでは有名な話ですが、人は基本的に 「左上から右下」 に向かって順番に物を見ます。
ワークフローもこの原則に従って、配置するのがいいでしょう。
2. ワイヤを見せる

情報がどこからどこへ受け渡されるかは、ワイヤを見ることでしか分かりません。 ノードの裏にワイヤが隠れてしまわないように配置しましょう。
- Rerouteノードを使う: 適切に中継点(Reroute)を作ることで、ワイヤの重なりや横断を回避できます。
- 無線化は慎重に: 「無線化」ノードは便利ですが、使いすぎると「情報がどこへ飛んだか」を探す手間が増え、スパゲッティを解くよりも労力がかかることになります。
3. Bento(弁当箱)レイアウトにしない

四角形の中に綺麗にノードを敷き詰めたい気持ちは分かりますが、「視線誘導」 と 「ワイヤを見せる」 観点からは最悪です。
データはおかしな方向に流れ、ワイヤはノードの裏に隠れます。
ComfyUIには無限の広さのキャンバスがあります。 ぎちぎちに詰め込まず、スペースを贅沢に使って広々と配置しましょう。
4. デフォルトのworkflowから始める

サイドバーのTemplates → Getting Started → Image Generation から、基本となる text2image のワークフローを呼び出せます。
残念ながら、現在は画像にあるミニマルなワークフローはテンプレートから削除されてしまいました。 代わりに、ここに置いておきます。
この構成は、SD1.5に限らず、あらゆる最新モデル(SDXL, Flux, Video生成など)のベースになります。
ここから拡張を始めることで、ワークフローの構造に一貫性が生まれ、他人が見ても(あるいは未来の自分が見ても)理解しやすくなります。
5. ノードを色分けする

機能が増えてくると、どれがどの役割のノードか瞬時に判別できなくなります。
適切な色付けは解読の助けになります。
例えば ControlNet なら、Apply ControlNet / Load Model / Preprocessor といった関連ノードをすべて同じ色で統一します。
そうすれば、「ControlNetの設定を変えたい」と思った時、緑色のエリアを探すだけで済むようになります。
6. ノート(コメント)を書く

モデルの選択、CFGの値、サンプラーの種類… 生成AIには無数のパラメータがあり、「なぜその値にしたのか」 をみんな知りたがっています。
「ここはディテールアップ用」「〇〇モデル推奨」など、臆せずこだわりを語ってください。 少し手間ですが、これがあるだけでワークフローの価値は何倍にも高まります。
7. 小さく、シンプルに

ワークフローが肥大化すると、処理時間が長くなり、エラー率が上がり、読みづらくなります。
分割できるなら、できるだけ小さく保ちましょう。ComfyUIにはタブ機能があります。
「All in One」もロマンですが、「タブ1で生成、タブ2でアップスケール」のように分業することで、それぞれのワークフローがシンプルになり、再利用もしやすくなります。
8. カスタムノードは最小限に

カスタムノードはComfyUIを強力なものにしている機能ですが、コアノードと違い、メンテナンスされる保証も、確実に動く保証もありません。
使われるカスタムノードが増えれば増えるほど、トラブルに遭う可能性も同じく増えていきます。
もちろんカスタムノードがなければ使えない機能はあります。しかし、単に複数のノードをまとめているようなものであれば、多少ノードが増えるとしても、コアノードを使うべきでしょう。