コマンドライン引数とは?

コマンドライン引数とは、プログラム(ここではComfyUIの main.py)を実行する際に指定する追加の設定やオプションのことです。

通常の設定画面よりも、VRAMの使い方やネットワーク接続など、よりコアな部分を制御したいときに使用します。

設定方法

python main.py の後ろに引数を追加して起動します。

python main.py --fast

ポータブル版では、起動に使っている .bat ファイル(例: run_nvidia_gpu.bat)を右クリックして編集し、python.exe の後に引数を追加することで設定できます。


引数一覧

VRAM / メモリ制御 (安定性とパフォーマンス)

VRAM不足によるエラー(OOM)対策や、VRAM容量に応じた動作調整に使います。

引数名 機能 備考
🔥 --reserve-vram [GB] VRAM予約: 使用するVRAMの量をGB単位で設定し、その分をOSや他のアプリのために確保します。 --reserve-vram 1.0 の場合、最低1.0GBを残します。
🔥 --disable-smart-memory メモリ管理の強制解除。 モデルをVRAMに保持せず、積極的にRAMにオフロード。 VRAMが少ない環境で、安定性を優先したい場合に有効。速度は落ちる可能性があります。
--lowvram VRAM節約モードを有効化。 UNETを部分的に分割して実行し、VRAM使用量を減らします。VRAMが少ない場合の標準設定です。
--highvram モデルをCPUメモリにアンロードせず、GPUメモリに保持する。 VRAM容量が大きい環境で、モデル切り替え速度を向上させます。
--cpu すべての処理をCPUで使用する。 非常に遅いため、GPUがない場合の最終手段として使用します。
--normalvram lowvramが自動で有効になった場合でも通常のVRAM使用を強制する。

起動 / 接続設定 (利便性とネットワーク)

ブラウザの動作や、LAN内でのComfyUIの共有設定に使います。

引数名 機能 備考
🔥 --disable-auto-launch ブラウザの自動起動を無効化。 ポータブル版などで自動起動が不要な場合に便利です。
🔥 --output-directory [path] 出力先ディレクトリを設定。 生成画像の保存先を変更したい場合に。
--listen 外部からの接続許可: リッスンするIPアドレスを指定。 引数なし (--listen) で 0.0.0.0 (すべてのアドレス) でリッスン。別PCからアクセス可能に。
--port [num] リッスンポートを設定 (デフォルト: 8188)。 既にポートが使用されている場合などに変更します。
--extra-model-paths-config [path] 1つ以上の extra_model_paths.yaml ファイルを読み込む。 モデルの保存場所を複数管理したい場合に。
--auto-launch デフォルトのブラウザでComfyUIを自動的に起動する。

トラブルシューティング (エラー切り分け・デバッグ)

ComfyUIが起動しなくなった場合や、画像が黒くなるなど不具合が出た場合に使います。

引数名 機能 備考
🔥 --disable-all-custom-nodes すべてのカスタムノードの読み込みを無効にする。 ComfyUIが起動しなくなった際、カスタムノードが原因か切り分けるのに最も有用です。
--force-fp32 FP32 (単精度) を強制する。 黒い画像が出るなど、精度問題のトラブルシューティングに。
--disable-xformers xformers (高速化ライブラリ) を無効にする。 xformersが原因でエラーが出たり、黒い画像になる場合に切り分けます。
--fp16-vae VAEを FP16 (半精度) で実行する。 VAE実行時のVRAMを節約しますが、黒い画像が生成される可能性があります。
--cpu-vae VAEを CPU で実行する。 VRAMが極端に少ない場合に、VAE処理をCPUに任せる最終手段です。
--disable-metadata ファイルにプロンプトメタデータを保存しない。 画像ファイルサイズを小さくしたい場合に。
--fast 未テストの最適化を有効にする。 速度テスト用。品質は保証されません。

その他 (応用・開発者向け)

主にVRAM/精度の高度なチューニング、フロントエンドのテストに関するものが含まれます。

引数名 機能 備考
--cuda-device [ID] このインスタンスが使用するCUDAデバイスのIDを設定。 複数GPU環境向け。
🔥 --front-end-version [version] 新しいUI(フロントエンド)を試すために使用。 例: --front-end-version Comfy-Org/ComfyUI_frontend@latest
--temp-directory [path] ComfyUIの一時ディレクトリを設定。
--multi-user ユーザーごとのストレージを有効にする。
--verbose デバッグプリントを増やす。 詳細なエラー追跡に。
--force-channels-last モデルの推論時にチャンネルラスト形式を強制する。